近年、欧米諸国をはじめ「グルテンフリー」という言葉が広まっています。日本でも、健康にブームの一つとしてグルテンフリーが取り上げられていますが、軽いファッション感覚で浸透しているような気がします。
欧米諸国でグルテンフリーの文化は、「グルテンが健康を害す」という考えのもと根付いています。
日本でも、「グルテンは環境汚染化学物質の様に、私たちに健康被害をもたらす恐れのあるもの」として、その危険性をもっと多くの人に知ってもらいたいと思います。
医療が発展しているにも関わらず、今や2人に1人はがんになり、3人に1人はがんで亡くなると言われています。
また、肥満や糖尿病、自己免疫疾患という病気は、ここ数十年の間に急激に増えてきています。変だと思いませんか。
パンやパスタ、ラーメンやクッキー、美味しいですよね。クッキーなんかは、もう一枚、もう一枚とついつい多く食べてしまいますよね。
和食文化から西洋の食文化に変わり、小麦製品があふれている現在、あなたの体もじわじわとグルテンに蝕まれているかもしれません。
グルテン(gluten)とは、小麦などの穀物や、大豆などの豆類に含まれるタンパク質で、
植物毒といわれるレクチンの一種です。
グルテンのタンパク質は、グルテニンとグリアジンで構成され、その粘着性が高いことから、食品以外にも、マスカラやヘアコンディショナーなど幅広く使われています。
穀物と言っても、すべての穀物がグルテンを含むわけではありません。
グルテンを含む主な穀物は、
などです。
そのため、小麦粉を使った製品は、ほとんどグルテンが含まれています。
一方、グルテンを含まない穀物もあります。白米やそばの実(10割そば粉)などはグルテンを含みません。
グルテンは消化の過程において、その高い粘着性(ベトベト感)により、消化不良を招きやすいと言われています。
また、グルテンは小腸の腸壁に作用し、「ゾヌリン」という物質の分泌を促します。
ゾヌリンとは、小腸壁(隙間はほとんどなく、細かく分解された栄養のみが通れる壁)の隙間を広めてしまうはたらきがあります。
つまり、グルテンによりゾヌリンがたくさん分泌されれば、小腸壁の隙間はどんどん広がり、完全に分解されきっていない未消化のものまでもが壁を通過してしまうのです。
この、小腸壁の透過性が高まった状態を▶「リーキーガット」と言います。
このリーキーガットになった状態で、グルテン(グルテニンやグリアジンも含む)が未消化のまま小腸壁から吸収され、血液中に侵入すると、免疫が過剰にはたらいて、全身に様々な症状をおこすようになります。
グルテンは、ドミノ倒しの様に私たちの体を崩していきます。
・慢性炎症を引きおこす
・アレルギーの悪化
・炎症性疾患の発症
・精神疾患(うつ病など)
・糖尿病
・肥満
など
栄養を吸収するための器官である小腸が、その機能を果たせなくなることで、からだは慢性的に栄養失調状態になります。
栄養が十分でないために、代謝が正常に行われなくなります。
そのため、糖の吸収も悪くなりインスリン抵抗性が上昇し、Ⅱ型糖尿病の発症につながるのです。
また、腸壁から未消化のタンパク質が吸収されてしまうため、以前はアレルギーではなかった食べ物に対しても抗体が増え、アレルギー反応が引きおこされることもあります。
そして、慢性炎症により全身で増えた炎症性サイトカインは、脳の中にも入っていき脳の中でも炎症をおこします。
この脳の炎症が、偏頭痛やうつ病なのです。そのため、Ⅱ型糖尿病患者がうつ病を併発するケースが多いのです。
また、グルテンは高い粘着性(ベトベト感)があるため、血液を介して、神経や粘膜、組織などにも結合しやすいです。
特に神経への親和性が高く、神経疾患を持つ人のほとんどがグルテン過敏症(グルテンもしくはグリアジンに対する抗体が多い)という報告もあり、グルテンを控えた食事に変えることで症状が緩和されるケースも多いと言われています。
免疫細胞は、グルテンを排除しようとグルテンが結合した組織ごと、攻撃します。
こうして、グルテンがあらゆる組織に結合することにより、バセドウ病や炎症性腸疾患、多発性硬化症、関節炎などが引きおこされる恐れがあります。
グルテンは、その分解産物が脳に到達することで「恍惚状態」を引きおこします。
そのため、「これは美味しい、もっと食べたい」と感じさせ、さらなるグルテンの摂取を私たちに要求してきます。これは、薬物依存になる症状にとても似ています。
朝食にはパンを食べ、お昼にはパスタを食べ、夕方にお菓子をボリボリ、夕飯にラーメン、などという生活をしているあなた。
関節が痛んでいませんか?頭がぼーっとすることないですか?なんだか気分が落ち込んでいたりしませんか?
気づかぬうちにからだがグルテンに侵されているかもしれません。
朝食をご飯に変えてみたり、お昼はみそ汁付きの定食にしてみたり、ピザをとるところをお寿司にしてみたり。
今からでも遅くありません。
何百年と日本人の健康を支えてきた「和食」という文化をもう一度見直してみてはいかがでしょうか。
関連図書