「めまいがする」、「抜け毛が多い気がする」、「すぐ疲れる」という自覚があり、周りからは「顔色が悪い」などと言われていませんか?
「だるい・疲れがとれない」などの症状が続く場合、その不調の原因はもしかしたら貧血かもしれません。
貧血は鉄分の欠乏で、血液検査により赤血球やヘモグロビンの数値を見ることで分かりますが、貧血と一言いっても原因により治療法が異なります。
日本では鉄欠乏性貧血が最も多いですが、その場合単に鉄分だけを摂っていても治らないのです。
「ではどうすればよいのか」と思った方は、ぜひ最後までお読みいただけると幸いです。
私たちは酸素がないと生きていけません。
そのため、呼吸によって体内に酸素をとり入れています。
そして、体に取り込んだ酸素を脳や内臓など全身の臓器に運んでくれているのが赤血球なのです。
赤血球は、全身に酸素を運ぶと同時に、各臓器から排出される二酸化炭素を肺へ回収する役割も果たしてくれています。
肺に回収された二酸化炭素は呼吸によって外に排出されます。
赤血球が酸素を運べるのは、その特殊な構造にあります。
赤血球は他の細胞と異なり、中身のほとんどが「ヘモグロビン」という色素タンパク質でできています。
1つのヘモグロビンの中には4つの鉄分子が含まれており、鉄分子1つに酸素分子が1つ結合できるようになっています。
つまり、1つのヘモグロビンで4つの酸素分子を運べるのです。
さらに、他の血球成分に比べて寿命が長く、何十万回と体内を循環して酸素を運び続けてくれるのです。
まさに酸素を運ぶために作られた細胞、という感じです。
鉄は、毎日食事から吸収され、汗や排泄物・粘膜や皮膚の脱落により排出されます。
体内には、だいたい 3~4g の鉄が存在していますが、そのすべてが上述したヘモグロビンの中にあるわけではありません。
体内の鉄の
鉄は、酸素を運んだり貯蔵する働きもありますが、生体内の反応のための酵素や補酵素としても働くため、血液中の鉄分が十分でも、それ以外の場所で鉄が足りない場合は貧血のような症状があらわれることもあるのです。
体内における赤血球と鉄分について、なんとなくご理解いただけたでしょうか。
それを踏まえ、ここからは貧血について説明していきます。
貧血とは、基本的に血液中で赤血球またはヘモグロビン濃度が少なくなった状態を言います。
しかし、上述した通り、鉄は赤血球の中以外にも存在しているため、血液検査で赤血球やヘモグロビン数値に問題がなくても、「倦怠感」を感じている場合、臓器や組織で貯蔵されている鉄が不足している恐れもあるのです。
貧血になり体内で鉄分が不足すると、酸素を全身に運ぶことができなくなります。
そのため、体は酸欠になり、だるさや疲れやすさを感じるようになります。
また、脳には筋肉がなく、酸素を貯蔵することができないため、鉄が不足してしまうと脳の細胞が酸欠状態になり、めまいや立ち眩み、頭痛などの症状が出ます。
さらに、血液中の赤血球の濃度が薄くなってしまうことで顔色が悪くなったり、薄くなった分を心臓から送り出す血液量で補おうとし、動悸や息切れ、頻脈などの代償反応が出ます。
貧血では赤血球(ヘモグロビン・鉄分)が足りていないわけですが、体内でそれが不足する原因は様々です。
そして赤血球の不足のしかたにより、貧血の種類が分かれます(下図)。
主に、貧血の原因は下記の様に分けられます。
これは、日本人に最も多い鉄欠乏性貧血です。
鉄欠乏性貧血は、胎児や乳児への鉄の供給が増えるなどの鉄の需要が増大することや、慢性出血や月経過多などで鉄の喪失が亢進することなどでおこります。
また、鉄の摂取が少ないこと、もしくは何らかの原因で鉄の吸収が悪いことでもおこります。
特に、胃炎・リーキーガット・抗栄養素の摂取は鉄の吸収を阻害してしまいます。
<胃炎>
胃炎の原因はピロリ菌の感染で、ほとんどの人は幼いころにピロリ菌に感染していると言われています。
しかし、実際に胃炎でつらい症状が出てくるのはそれから何十年っも経ってからです。
偏食や生活習慣の悪化により、ピロリ菌もどんどん増えて胃炎を発症させてしまうのです。
そして、胃の中で増えたピロリ菌は、鉄を横取りしてしまいます。そのため、私たちの体に必要な鉄の吸収が妨げられてしまうのです。
<リーキーガット>
リーキーガットとは、ふつうは隙間のほとんどない腸壁が、ダメージを受けることで隙間だらけになってしまい、腸内から血液中に細菌や未消化の食べ物が漏れ出してきてしまう状態をいいます。
そのため、血液中ではそれらを異物とみなし免疫が炎症をひきおこします。(>> 詳しくはこちら)
<抗栄養素>
食べ物によっては、鉄の吸収を阻害する成分を含むものがあります。
特に、ハムやソーセージなどの加工食品にく踏まれる添加物「リン酸塩」は、鉄と結合してそのまま体外に排出されてしまいます。
そのため、鉄が吸収できなくなり鉄分を摂っても鉄欠乏性貧血が治らないという事態が発生します。
巨赤芽球性貧血や悪性貧血と言われ、ビタミンB12 もしくは葉酸が不足するために、骨髄でDNA合成障害がおこり、赤血球の核の成熟が障害されることでおこる貧血です。
検査方法としては、血液検査でビタミンB12、葉酸の数値を測定します。
<ビタミンB12 が不足している場合>
胃の全摘出、もしくは胃粘液の萎縮、抗壁細胞抗体、抗内因子抗体、ビタミンB12 摂取不足などが原因で、ビタミンB12の吸収不良がおきることで、貧血症状に加え、消化器症状(胃酸が出ない、舌の痛み)や神経症状(白髪が増える、認知症状、しびれや歩行障害)が現れます。
<葉酸が不足している場合>
アルコール中毒、薬剤、胃疾患などが原因で葉酸の吸収不良がおき、貧血症状に加え、消化器症状(胃酸が出ない、舌の痛み)が現れます。
赤血球の破壊が亢進されることでの貧血は、溶血性貧血や、肝機能低下による貧血があげられます。
溶血性貧血は、走ることによる足裏の衝撃や激しい打撲などが原因で、皮下の血管内で赤血球が壊れてしまうことでおこる貧血です。
若くて骨格がたくましいスポーツ選手などでもおこることがあり、「スポーツ性貧血」とも言われています。
赤血球に対する自己抗体ができてしまい、赤血球が破壊されてしまうという「自己免疫性溶血性貧血」の場合もあります。
また、肝臓の機能が落ちてくると、代わりに脾臓での赤血球や血小板などの破壊が亢進され、貧血になるおそれがあります。
腎性貧血は、腎臓の機能が低下することによりおこる貧血です。
骨髄での造血機能は、腎臓から分泌される「エリスロポイエチン」という造血ホルモンにより促進されます。
腎機能の低下により、このホルモンが十分に分泌されなくなると骨髄での造血機能が低下し、貧血症状がでます。
血液検査で、血液一般成分の数値と腎機能マーカー、ホルモン分泌量、フェリチン、鉄結合能などを検査することでわかります。
骨髄異常による貧血は、再生不良性貧血とよばれ、先天的、または後天的に骨髄に異常が生じ、造血幹細胞が減少することでおこる貧血です。
赤血球だけでなく、白血球、血小板も十分に造られなくなるのが特徴です。
がんによる貧血や、抗がん剤の使用などの薬剤により貧血がおこる場合もあります。
また、漢方でも長く飲み続けていると、肝臓障害、腎臓障害、造血障害などの副作用がおこる例も報告されています。
貧血と一言いっても、原因により貧血の種類は異なり、当然対処の仕方も異なります。
まずは、自分の貧血の原因と種類をしっかり把握する必要があります。
貧血解消法のページでは、貧血の中で最も多い「鉄欠乏性貧血」を改善させていくための食事について解説しています。
上述したように、鉄欠乏性貧血の原因はほとんどが胃腸にあります。
胃腸の状態が良くないと、鉄分を十分とっていても貧血は治りません。
胃腸の状態を良くするには「ディフェンシブフード」の実践が大事になります。
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